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表面を香ばしく炙った鶏たたき。鹿児島や宮崎ではおなじみの料理ですが、初めて取り寄せるとなると「鶏肉を生で食べても大丈夫?」と気になるものです。
生食用として販売される鶏肉には、鮮度だけでなく、処理や加工の段階で特別な衛生管理が求められます。では、一般的な鶏肉と何が違うのでしょうか。県の衛生基準や研究から、その違いとお取り寄せで見ておきたい点を紹介します。
鶏たたきの食中毒は、
鮮度だけの問題ではない
鶏肉の食中毒でよく知られるのが、カンピロバクターです。健康な鶏の腸管内などにもいる菌で、肉が古くなると初めて現れるわけではありません。そのため、新鮮な鶏肉にも付着していることがあります。[1][5]
菌が肉に付く機会の一つが、鶏を食肉にする工程です。羽を取り除いたり内臓を取り出したりする際、消化管の内容物などが肉に触れることがあります。包丁やまな板、手指を介して、汚染が広がる場合もあります。[1][2]
新鮮さを保つことに加えて、処理の途中で菌を付けないこと、付いた菌を減らすこと、加熱後の肉を再び汚染させないことが、生食用の鶏肉を扱ううえで欠かせません。
カンピロバクターに感染すると、腹痛や下痢、発熱などが起こります。まれに、手足の筋力が低下するギラン・バレー症候群を発症することもあります。[5]
鹿児島・宮崎の生食用鶏肉は、
どのように管理されている?
鳥刺しを食べる習慣がある鹿児島県と宮崎県では、生食用の鶏肉に関する独自の衛生基準や対策を設けています。単に「新鮮な肉を使う」という内容ではなく、食肉の処理から加工、保存、流通までを対象にしています。[2][3]
鹿児島県では、表面の加熱や専用器具の使用を定めている
鹿児島県の「生食用食鳥肉の衛生基準」では、解体時に消化管の内容物などによる汚染を防ぐこと、内臓を取り除いた鶏体を洗浄・水切りした後に表面を焼いて殺菌することなどを示しています。鳥刺しを切る包丁やまな板は専用とし、器具や手指の洗浄・消毒も定めています。[2]
宮崎県でも、工程ごとの管理と自主検査を求めている
宮崎県の「生食用食鳥肉の衛生対策」にも、表面などを焼く処理、専用器具の使用、生食用とそれ以外の肉の区別、保存・流通時の温度管理、自主検査などが盛り込まれています。一度加熱すれば終わりではなく、その後の切り分けや包装でも汚染を防ぐ仕組みです。[3]
- 菌を付けない
解体時の汚染を防ぐ
器具・手指を清潔に保つ - 菌を減らす
製造工程で
表面加熱などを行う - 再び汚染させない
専用の器具を使い
肉を区別して扱う
これらは事業者の衛生管理に向けた基準・目標で、県内産の商品を一律に安全と認定するものではありません。お取り寄せでも、産地名とあわせて製造元の管理内容が参考になります。[2]
こうした衛生管理には、
汚染を減らす効果がある
生食を想定した処理の効果は、研究でも調べられています。2016年度の厚生労働科学研究では、生食用として流通する鶏肉のカンピロバクターの菌数が、調査した加熱用鶏肉より相対的に少ないことが報告されました。鶏体の表面を焼く処理についても、汚染を減らす効果が期待される結果が得られています。[4]
ただし、この調査では一部の生食用鶏肉から高い汚染も確認されています。また、菌を肉の表面に付けた実験では、菌が内部に入り込み、表面を温浴加熱した後も一部が生き残りました。[4]
衛生管理の効果を示す研究ではありますが、現在販売されている個々の商品の安全性まで確かめたものではありません。それでも、どのような処理や衛生管理を行っているかを知ることには、商品を選ぶうえで意味があります。
冷凍の鶏たたきや、
ささみ・むね肉はどう考える?
冷凍も汚染を減らす方法の一つ。ただし、菌は残ることがある
通販では、冷凍の鶏たたきをよく見かけます。冷凍処理によってカンピロバクターの菌数が減ることは、研究で報告されています。一方、この菌は冷凍中も生き残ることがあり、すべてが死滅するわけではありません。[5][7]
そのため、冷凍されているかどうかだけでなく、凍らせる前の処理や衛生管理も、あわせて見ておきたいところです。冷凍の表示は保存方法を示すもので、それ自体が生食の安全性を保証するものではありません。
生き残る菌もあるため、
製造時の衛生管理も重要。
カンピロバクター食中毒を
防ぐために勧められる加熱条件。
ささみたたき・むね肉の刺身にも、同じ注意点がある
ささみやむね肉でも、部位だけを理由に生食のリスクが低いとは言えません。厚生労働省は、ささみなどの刺身や鶏たたきといった生・半生の料理を、カンピロバクター食中毒の原因として挙げています。[6]
家庭で加熱用の鶏肉を調理する場合は、ささみ・むね肉とも中心まで十分に加熱するのが基本です。製造施設で生食用として管理された商品と、家庭で表面だけを焼いた鶏肉は、同じ条件ではありません。[1]
鶏たたきをお取り寄せするなら、
製造元の説明と食べ切りやすさを見て選ぶ
通販で選ぶときは、価格や量に加えて、製造元がどのような情報を出しているかも見ておくと比較しやすくなります。「新鮮」「衛生管理を徹底」といった言葉だけより、加工方法や器具の管理、検査の内容まで説明されている商品のほうが、作られ方を具体的に知ることができます。
検査情報は、対象の菌や製品、実施時期まで分かると参考になります。検査した一部の肉が陰性だったことと、販売されるすべての肉に菌がいないことは別なので、日々の工程管理とあわせて見るのがよいでしょう。
小分け包装と、保存・解凍の案内も確認を
一度に使う量が少ないなら、小分けで冷凍された商品は必要な分を取り出せます。スライス済みか、自分で切り分けるタイプかも、選ぶときの違いになります。
保存温度や解凍方法、解凍後の期限は商品によって異なります。届いたら表示どおりに保存し、解凍の案内に沿って扱うことが大切です。冷凍状態での賞味期限と、解凍後に食べられる期間は同じではないため、記載が見当たらない場合は販売店に確認しておくとよいでしょう。
また、調理するときは肉汁が他の食品に付かないようにし、使った器具や手指を洗浄します。生の鶏肉の水洗いは、飛び散った水で周囲を汚染するおそれがあります。[1][3]
二幸食鳥「とり刺し 小分けパックセット」
二幸食鳥は、鳥刺しづくりの衛生管理を公式サイトで紹介しています。通販で取り扱うこのセットは、皮の表面を炙った生食用のとり刺し。スライスした肉が100gずつ真空包装されており、使う分だけ解凍できるのが特徴です。
二幸食鳥は、鳥刺しの製造で使う包丁やまな板、手指などの清潔度をATP拭き取り検査で毎日確認し、外部機関による製品の微生物検査を週1回行うと説明しています。製造時の取組についての公表情報で、すべての袋を検査しているという意味ではありません。 製造元の説明 ↗
- 内容量
- 100g × 3・6・10パックから選択
- 包装
- スライス済み・真空冷凍。専用たれ付き
- 保存・解凍
- −18℃以下で保存。冷蔵庫で解凍し、具体的な取扱いは届いた商品の表示を確認
販売ページの賞味期限は冷凍で製造日から3か月です。解凍後の期限は掲載されていないため、購入時に販売店へ確認するとよいでしょう。
衛生管理を行った商品でも、生食による食中毒のリスクは残ります。
鶏たたきについて、よくある質問
Q1通販の鳥たたきと、スーパーの加熱用鶏肉は何が違いますか?
生食用の鶏肉には、解体・加熱・切り分け・保存まで、生食を想定した衛生管理が求められます。加熱用の鶏肉を家庭で炙るだけでは、その条件は再現できません。また、生食用の商品にも食中毒のリスクは残ります。
Q2冷凍すると、カンピロバクターはいなくなりますか?
冷凍によって菌数が減ることはありますが、生き残る菌もあります。冷凍品を選ぶ際も、凍らせる前の処理や衛生管理が重要です。保存や解凍の方法は、商品ごとの案内が参考になります。
Q3ささみたたきや、むね肉の刺身ならリスクは低いですか?
ささみやむね肉でも、部位だけを理由にリスクが低いとは言えません。ささみの刺身も食中毒の原因として挙げられています。家庭で加熱用の肉を調理する場合は、中心部を75℃以上で1分間以上加熱することが基本です。
Q4鹿児島・宮崎では、なぜ鳥刺しが売られているのですか?
鳥刺しを食べる習慣がある両県では、生食用の鶏肉について独自の衛生基準や対策を設けています。汚染を減らすための管理であり、産地名が商品の安全を保証するという意味ではありません。
参考資料・出典
最終確認日:2026年9月6日
- 厚生労働省カンピロバクター食中毒予防について(Q&A)
- 鹿児島県生食用食鳥肉等の安全確保について
- 宮崎市(宮崎県の衛生対策を掲載)カンピロバクター食中毒の予防について 宮崎県「生食用食鳥肉の衛生対策」(PDF) ↗
- 厚生労働科学研究成果データベース食鳥肉におけるカンピロバクター汚染のリスク管理に関する研究(2016年度・201622016A)
- 食品安全委員会カンピロバクターによる食中毒にご注意ください
- 厚生労働省お肉はよく焼いて食べよう
- 日本食品微生物学会雑誌(J-STAGE)冷凍処理による鶏肉中でのカンピロバクター汚染低減効果に関する検討(2015年)
冒頭の画像は記事用のイメージです。紹介商品の写真ではありません。
